日経夕刊に載ってた、ハードロック工業社長若林さんのインタビュー記事がすごくよかった件

ハードロック工業社長 若林さんのインタビュー記事が今週の日本経済新聞夕刊に載ってました。
たまたま第4回の記事を日経電子版で見つけて、すごくよかったから一気に読み返しました。
自分で会社をやろうと思ってるIT系の人も目を通しておいて損はないと思います。
(以下該当記事へのリンクです。有料会員じゃないと見られないかも)

ハードロック工業社長の若林克彦さん(78)は「東大阪のエジソン」と呼ばれる発明家だ。子供のころから生活に役立つ様々な道具を作り、「絶対に緩まないネジ」で同社を年商12億円の優良企業に育てた。「アイデアは人を幸せにする」を信条に海外からも注目される新技術の開発や改良に取り組む。

記事の切り抜き

以下気になったところからピックアップ。

中小企業は大企業に比べ不利な面がたくさんあります。資金調達力の弱さ、知名度の低さを背景とした人材集めの難しさなど、数え上げたらきりがありません。でも、アイデアに気づく機会は平等です。もちろん全く新しい製品を開発することは難しいが、この世には完全な製品などない。不完全な部分を改良することで新たな需要を生み出せると考えるのです。
 中小企業こそ独自の技術力と営業力を強化すべきです。良い製品さえ作れば黙っていても売れるという考えは間違いです。(中略) たいていの中小企業は下請けですが、発注元の大手に頼ってばかりでは景気に翻弄されます。中小企業が自立するには、オンリーワン製品を武器に独自の販売先を開拓する必要があるのです。

 その前からモノ作りは好きでした。プラモデルなどはなかったので木の切れ端などで色々と作りましたね。(中略) 一方、種まき機は私のほかにユーザーも喜ばせる発明品です。「アイデアは人を幸せにする」と知りました。

「ナットのような単純な製品でも工夫次第で化けるんだ」と強く思いました。

 でも、私は会社の存在意義を揺るがす大問題だととらえました。「緩まない」ことが売り物のナットが緩み、一歩間違えれば大事故につながる可能性があったのですから。悩んだ末に一つの結論に達しました。「意地でも、絶対に緩まないナットを作るぞ」
 それからは仕事の合間に、新型ナットの開発に没頭しました。ところが、こうしたエンジニアのこだわりを共同経営者は十分に理解してくれません。2人の間の溝は徐々に広がっていきました。

 試作品に激しい振動を加えてテストしましたが、期待通り、緩みません。「絶対に緩まないナット」の完成です。ヒントを得てからすでに1年が過ぎていました。
 新型ナットは別会社で作ることにしました。値段は従来のU―ナットよりも2割高でしたが、それよりも「緩まない」機能を重視するユーザーは多いと考えました。
 冨士精密製作所は共同経営者に無償で譲りました。新型は「ハードロックナット」と名付け、これを製造、販売するハードロック工業を1974年春に設立。妻には「何を考えているのか」と怒られましたが、心は晴れていました。

新型ナットがある程度売れるまで3年ほどかかった。その間、別の発明品で稼いだ。

ちょっと意外でおもしろかったのが、この話。

 ところで、鉄道の話が随分多いことに気が付きませんか。実は私は鉄道マニアなんです。大阪市内にある自宅の6畳間は鉄道模型とジオラマが占領。東大阪市の自社工場の一角では、レールの間が5インチ(約13センチメートル)もある大きな蒸気機関車や電車の模型が走り、お客さんにはなるべく乗って楽しんでもらいます。大型鉄道模型はいまや当社の名物です。サラリーマンを辞め独立した動機の一つは、鉄道模型を自在に走らせることができる広い場所を自分の会社に確保することでした。

経営者であり発明家だからこその視点。

 私は経営者であると同時に発明家です。アイデアを製品にすることが生きがいです。自宅のあちらこちらにメモ用紙を置き、何かひらめいたらすぐに書きとめます。ハードロックナットにも定期的に改良を加え、新たな知的財産を積み上げてきました。だから現在の公益財団法人日本発明振興協会から09年度の発明大賞本賞をいただいた時は心の底からうれしかった。

「世界で通用するオンリーワン商品を生み出す秘訣は何か」とよく聞かれます。欠かせないのはアイデアをすぐ形にする習慣を身に付けることでしょう。加えて大事なことは次の3点だと思います。まず、すべてのものに好奇心を持ち、見て、触れて、感じる。それから、世の中の商品はすべて未完成だとみなし、どうすればもっと便利になるかを模索する。その上ですべてのものは組み合わせで成り立つと考えるのです。

「よい心の状態」を保つことも重要です。社内には「SUJ」と書かれた紙が張ってあります。私が考えた標語です。心の持ちようとしてS=素直、U=受入(他人の言うことを聞く)、J=実行の3点が大切だという意味です。

 新興勢力のアジア企業はハングリー精神を糧に成長。一方、日本は太平洋戦争後、上昇気流に乗ったが、現状に満足した。日本企業が再び勢いを得るには、一人ひとりの経営者や社員が世界に立ち向かう強い心を持つべきです。この世に成熟商品はありません。工夫の余地はいくらでもあり、それが新たな付加価値を生むのです。

「アイデアは人を幸せにする」というのは、確かにそうだと思います。
そして、忘れていけないのが「アイデアをすぐ形にする習慣を身に付ける」こと。
ここ最近よく言われる「アイデアに価値はない」という言葉がありますが、価値が存在しないのではなく「アイデアに気づく機会は平等」であるだけで、(単体では価値がないけど)具現化で初めて本当の価値が出てくるものではないかと思います。


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